11月28日午後の衆院本会議で「改正」法案が可決、成立となりました。各方面から抗議の声が上がっています。右採択に先だって、「改正」法案の提案者のひとりである松浪議員が11月20日、内閣不信任案討論の際にコップの水を議場に向けてあびせかけた件で登院停止25日間となりました。 少年法「改正」成立に抗議する 声明文 少年法「改正」法案成立に対する「声明」全司法中央執行委員会 少年法「改正」成立への抗議声明子どもの権利・教育・文化・全国センター 少年法「改正」法案成立にあたって日本教職員組合 日本弁護士連合会会長声明 東京弁護士会会長声明 検察官関与に反対し少年法を考える市民の会声明 検察官関与に反対する弁護士の会声明 日弁連子どもの権利委員会の第11回全国付添人交流集会(沖縄)の参加弁護士100名の緊急アピール 少年法「改正」法案の参議院通過に対する緊急声明市民の会 こんな審議で「改正」されてしまっていいのでしょうか?!(法務委員会を傍聴した市民の声) 11月20日少年法「改正」法案反対、徹底審議を求める緊急集会(報告) 各地で少年法と少年犯罪についての集会が開かれていますので紹介します。各地の集会・学習会 マスコミ報道だけではわからない少年犯罪の実情や背景を知って考えを変える人も増えています。当会に寄せられた手紙をご紹介いたします。 11月24日法務委員会詳細 法務委員会は24日、多数の傍聴市民の見守るなか、10時から15時近くまで議員質疑をしたうえ、付則に「5年後の見直し」条項を加えた修正で可決しました。反対は共産党(反対の討議内容全文)、社民党、無所属(中村議員)の3名。付帯決議も反対3名で採択しました。このあとは27日に参議院本会議経て、(修正の関係で)28日に衆議院本会議で成立、という日程です。 同日16時すぎに「検察官関与に反対し少年法考える市民の会」が怒りと抗議の声明を司法記者クラブで発表しました。 28日に向けて、各地・各団体が声明を用意しています。 参院法務委員会は11月21日に少年保護施設の視察をしたあと、22日に理事会にて24日10時から15時まで議員質疑をすることになりました。与党はこれをもって審議を打ち切り採択を強行するつもりです。 なお、与党と民主党の協議で、付則として5年後の見直し条項をつける修正がなされる予定なので、一旦、衆議院に戻したうえで(実質的な審議を省略して)28日に成立という切迫した事態になりました。マスコミや法務委員会、各党に抗議の意思表示をしましょう。 参議院法務委員会は14日、16日と議員質疑をしたあと、17日に参考人質疑をしました。 11月17日法務委員会詳細 参議院法務委員会参考人意見陳述要旨 少年事件被害者と少年との対話を(山田由起子参考人) 21日(火)に施設(少年鑑別所、女子少年院、医療少年院)視察を予定しており、24日(金)の採択も考えられます。 11月16日法務委員会詳細 11月14日法務委員会詳細 参議院は8日午前の本会議で趣旨説明と3野党の代表質問をしたあと、第1回法務委員会で法案説明だけ(約5分)をし、9日午前午後にかけて議員質疑をしました。 さらに、来週は補正予算の審議が始まるにもかかわらず、14日、16日に議員質疑を続け、また、17日におざなりの参考人質疑を実施して、何が何でも臨時国会中に採決まで強行しようとしています。 11月8日本会議、9日法務委員会詳細 8日参議院本会議(ビデオ視聴可能)にて少年法「改正」与党案に対する趣旨説明と代表質問が行われました。質問内容の全文をご紹介いたします。 竹村泰子議員(民主党) 橋本 敦議員(共産党) 福島瑞穂議員(社民党) 衆議院で強行可決!! 与党は31日午前の法務委員会で野党5議員による総括質疑を行ったのち、審議を打ち切り採決し、午後の本会議で可決させました。 31日法務委員会詳細 民主党は執行部が先週末に賛成の方針を決め、法務部会が抵抗していましたが、結局、執行部方針を押しつけ、与党案調整段階の公明党と同じ状況になりましたが、委員会と本会議の採決では一部議員が最後まで賛成せず、委員差し替えや欠席の事態になりました。 実質審議がようやく始まりかけていた時点でのこのような事態に対して、多方面から抗議の声が上がっています。 参議院は8日本会議で趣旨説明、9日法務委員会から審議が行われます。参議院においても徹底した審議を求めるとともに、民主党執行部に対して方針の変更を求めていきましょう。 厳罰化に対する各党の態度(10.27更新) 社民党 従前から「反対」。 共産党 9月22日夜のテレビ討論で「反対」、なお10月17日に「少年法改正問題についてついてとの見解を発表。「厳罰化」反対。18才問題については成人年齢と一体解決。 民主党 9月29日に司法ネクスト大臣小川敏夫議員談話。10月20日に修正案発表。14歳引き下げ、原則的逆送については与党案より制限したうえで容認。(なお、「事実認定手続」を設ける) (少年法民主党修正案に関するワードファイル) 10月27日の委員会で午前、午後、9名の参考人の意見陳述。被害者遺族の心情も様々であること、与党案には多くの疑問点があることが明らかになりましたが、与党は10月31日の委員会で採決強行をねらっています。 10月27日(金)野党推薦の参考人質問 福島章氏(上智大学教授)佐藤欣子氏(弁護士・元検察官)飯室勝彦氏(東京新聞論説副主幹)守屋克彦氏(東京経済大学教授・元家裁裁判官)塚本猪一郎氏(画家・バスジャック事件遺族)葛野尋之氏(立命館大教授・市民の会メンバー)斉藤義房氏(弁護士・日弁連子どもの権利委員会委員長)寺尾絢彦氏(元家裁調査官)岡崎后生氏(会社員・牛久「岡崎事件」遺族) 27日法務委員会詳細 10月25日(衆)法務委員会質疑 民主党(野田佳彦議員)民主党(山内 功議員) 民主党(水島広子議員) 民主党(日野市朗議員) 10月24日(衆)法務委員会質疑 民主党(佐々木秀典議員)民主党(平岡秀夫議員) 民主党(肥田美代子議員) 自由党(藤島正之議員) 共産党(木島日出夫議員) 社民党(保坂展人議員) 24日25日法務委員会詳細 10月17日、衆院法務委員会は野党欠席のまま少年改正案に関する参考人質疑を継続 17日法務委員会詳細(13日の参考人質疑と同様にすべて与党による人選でした) 与党、法務委「審議」を強行 10月13日午前、法制審議会の岩井宣子(専修大学)瀬川晃(同志社大)千葉紘子(保護司・篤志面接員)各委員により参考人質疑が行われました。法案については若干の批判を述べつつ、総合的には、「改正」賛成というスタンスでした。「これで少年犯罪は減らせると思うか」との質問には3名とも消極的でした。13日法務委員会詳細 与党は10日午前に法務委員会を開き、与党による質疑(自民2名・公明2名・21世紀クラブ1名)を強行した。こんな程度で主要法案が審理されたことになるのか、傍聴につめかけた多数の市民も怒りをおさえきれませんでした。10日午前の法務委員会詳細 (保坂議員のホームページにても議事内容が参照できます) 6日(金)午後の議院運営委員会でいきなり法務委員会への付託を決め(本会議での趣旨説明も質問も省略)、しかも何と午後に第1回の法務委員会まで開いて法務説明まで強行したうえ、10月10日(火)午前に委員会を開いて与党による質疑をすることまで決めてしまいました。公選法問題で野党の審議拒否が続いているのに乗じて強引にかつ無謀なやり方で「改正」を強行しようとする企みは断じて許すことができません。 与党に、またマスコミに怒りの声を伝えましょう。 与党案が確定し、条文化作業もほぼ完了しているようです。 (9月29日に国会提出とも伝えられています) 早ければ、10月上旬には審議入りとなりそうですので、多くの声を国会に届け、マスコミを通じて社会に広げましょう。 マスコミの反応は、9月16日付朝日新聞社説で「与党案には疑義がある」、9月20日毎日新聞社説では「冷静で幅広い分析が先だ」と主張しています。(9.29更新) 与党骨子(案)と現行法の比較(9.21更新) 「骨子案」(9.22更新) 与党3党は9月14日の与党プロジェクトチームの会合を開きました。 以下の「骨子案」は会合での議論のために提出されたもので、最終結論は確認していませんが、「検討中」の項目以外は了解されたようです。 これに対して各野党は近々対応を決める予定です。 マスコミの反応は、9月16日付朝日新聞社説で「与党案には疑義がある」と主張しています。(9/20更新) 「改正」法案ついに廃案に 65万署名と大きな取り組みの力で(6/2更新) 6月2日衆議院は解散され、遂に「改正」法案を廃案に持ち込むことができました。すすめる会News19号(4・26付)以来も国会の動きが続き、この間に5・19付(国会情勢に掲載)で一部の方に国会情勢をお伝えしましたが、与党は法案審議の形をとりつつ、実質は年齢引き下げなど抜本的厳罰化法案を準備して、そのために選挙向けのプロパガンダに国会を利用しようという方針で終盤国会に臨みました。 5月連休明けに衆議院の本会議と法務委員会(1回)を開き、委員会内に小委員会を設置して2回(16日と18日)の討論(実態は各党が少年犯罪防止方策を言いっぱなし)を経て、23日の法務委員会で「少年非行に関する決議」を採択(自由党のみ反対のもよう)し、この時点で廃案は確実となりました。終盤国会の時期に連続した少年非行報道、厳罰化世論の嵐の中で、最終的に廃案に持ち込めたことの意義は大きく、皆さまと健闘を喜び合いたいと思います。 私たちとしては、これから予想される抜本的厳罰化法案に向けて、より一層子どもの視点から、問題の解決に迫る姿勢と努力を維持したい、と思います。すでに法務省は、自民党案にそう形での立法に向けて内部作業を開始し、また国会議員への根回しを始めています。この度の廃案に追い込むことのできた私たちの力に確信をもって、これを強化していきましょう。 自民「抜本的改正」を目指して「決議」画策(5/19更新) 国家終盤を迎えて、さらに動きが続いています。連休中の事件続発を受けて、野党としても「改正」法案の「審議入り」は阻止できない状況となり、11日の衆議院本会議での趣旨説明と代表質問を経て法務委員会に正式付託、12日の法務委員会で法案説明と各党の質疑があり、小委員会を作って検討を続けることになりました。 大枠としては、自民党としても、本会議の時から、法案成立までは不可能、という前提で、選挙に向けての党の方針をぶちあげて、次国会での「抜本的」厳罰化法案の内容を打ち出す場として国会審議を利用しよう、という姿勢でした。従って小委員会も「改正」法案審議ではなく「少年問題に関する小委員会」という名称で、議論しっ放し、というムードが漂っていました。 これから本会議・法務委員会・小委員会での議論は別途くわしくご報告したいと思いますが、例えば、保守党は「戦後少年法は、かっぱらいなどの非行を想定して作られたものだ」というでたらめを繰り返してきました。または自由党・保守党は「事実認定の適正化には党とも異論はないはずだから、今国会で法案を通すべきだ」と強調しましたが、野党が「この法案は事実認定の適正化にとっても問題がある」と斥けたこともありました。 しかし、その後も埼玉県の集団暴行致死事件などが続き、そのたびに保守派を勢いづかせるのでしょう、小委員会も1回(16日)で終わらず18日も続き、小委員会はこれで終わったものの23日に委員会を開いて決議する、という提案が出てきました。 同じ18日には自民党の「抜本的改正」の案が正式発表されましたが、事前の報道のとおり、「少年法を甘やかすだけとなるような意味での保護主義」とか、犯行時18歳未満に対する終身刑の検討などを含む無茶苦茶なものです。自民党が考えている委員会決議の目的は、「年齢問題を検討すべきである」等の内容を盛り込むことによって、法務委員会としての方向付けをし、きたるべき「抜本的改正」へのレールを敷いておこう、というものです。 委員会の決議というものは、全党派一致、ということが慣行になっていますが、与党がどのような態度で出てくるか、まだ不明です。それこそ、解散前のどさくさに、国民の不安を利用して、問題の決議を拙速かつ強引に通すことのないよう、最後まで監視をおこたらず、国会とマスコミへの声を届けていきましょう。(5/19更新) 自民、廃案前提に「次国会に抜本的厳罰化法案」 (5/13更新) 少年法「改正」法案の審議が開始され、11日衆議院本会議での趣旨説明と各党代表質問、12日衆議院法務委員会の第1回審議が行われました。 このような動きに対しては、10日に市民の会主催の議員会館内の抗議集会に150名が参加し、同会の反対声明等とともにマスコミにも報道されました。 新聞等で報道されているように、自民党等としても審議時間不足のために廃案になるのを覚悟で、国会の場を利用して厳罰化の姿勢を打ち出すことによって選挙を有利に運ぼうとする思惑があります。 実際、10日の本会議・11日の委員会とも自民党・保守党・自由党の「厳罰化」コールはすさまじいものでした。現在、自民党が新しく検討している「抜本的な少年法改正法案」の中身が見えてきました。いわゆる年齢引き下げ(少年法は18歳まで、14歳から刑事処罰、14歳未満でも少年法)はもちろん、凶悪事件では家裁の判断ぬきで地裁に送る、審判での「なごやかな雰囲気」を削除する等々。 従って、廃案を確実なものにするためにも、また新たな「改正」の動きを許さないためにも、再度の緊急集会へのご出席ようお願いします。 自民、強引に「審議入り」 (5/8更新) 連休前の状況では、世論対策として「一応審議入り」(本会議プラス委員会1回程度)という可能性が強くなっていましたが、連休中の豊川事件、バスジャック事件を口実に5月8日(月)の政府与党の会議で早期審議入りの方針を固めました。 自民党は5月9日の本会議も考えていましたが、野党の反対で11日となる見込みで、12日には委員会審議必至の状況になりました。 豊川事件、バスジャック事件について、マスコミ報道は比較的冷静(毎日、東京の社説は少年法改正論に利用することに反対、その他も背景を重視)ですが、票になると見てなりふりかまわぬ行動に出ようとしています。 少年非行の背景を冷静に検討し、必要な対策を着実に進めること、この声を国会に、マスコミに送りましょう。 最後の山場です。 緊迫国会情勢 (4/20更新) 自民党は4月14日午前の役員連絡会で、票あつめのためには商法改正を犠牲にし、公明党の修正要求も容れる前提で、少年法改正をめざす、という方針転換をしました。 このあと公明党執行部は党内の法務委員会で、公明党としての修正要求をまとめる作業を(引き続き)おこない、その概要が19日毎日に「修正素案」として報道されました。 その内容は @検察官関与の範囲を重大犯罪に限定する、 A検察官の抗告権は削除する、 B被害者や遺族の知る権利や発言権を加える、 C身体拘束の期間を短縮する、その他証拠法則等についても検討する、 というようなものです。 しかしこれに対して自民党(その背景には法務省)が不満で、特にAについては強く反対したため、公明党執行部としても、どのような線で党内合意を形成するか、悩ましい状況になったものと思われます。従って、ともかくも審議入りしたうえで、その過程で公明党の修正意見をまとめる、という方向も考えられているようです。 他方で、商法改正先送りについては財界からの不満が(やはり)出たため、18日の時点で与党としては、少年法も商法もやる、とりあえず今週20日の衆議院本会議で商法の趣旨説明をして審議をスタートさせる、ということになりました。 この新方針のもとでは少年法の審議入りはどうなるか、具体的には入り口である本会議での趣旨説明をいつやるのかということですが、商法改正(労働界の反対が強く、すんなりとはいかない)を成立させてからになるのか、同時並行でいくのか、いずれにしても、残された時間で、自民党がさらにどういう方針でいくのか、混迷した状況になっています。時間が切迫するなかで、選挙の票になる、と見れば強引な強行採決も辞さない危険は依然としてあります。決して油断や安心はできません。 自民党は4月14日午前の役員連絡会で、票あつめのためには商法改正を犠牲にし、公明党の修正要求も容れる前提で、少年法改正をめざす、という方針転換をしました。 このあと公明党執行部は党内の法務委員会で、公明党としての修正要求をまとめる作業を(引き続き)おこない、その概要が19日毎日に「修正素案」として報道されました。その内容は @検察官関与の範囲を重大犯罪に限定する、 A検察官の抗告権は削除する、 B被害者や遺族の知る権利や発言権を加える、 C身体拘束の期間を短縮する、その他証拠法則等についても検討する、 というようなものです。 しかしこれに対して自民党(その背景には法務省)が不満で、特にAについては強く反対したため、公明党執行部としても、どのような線で党内合意を形成するか、悩ましい状況になったものと思われます。従って、ともかくも審議入りしたうえで、その過程で公明党の修正意見をまとめる、という方向も考えられているようです。 他方で、商法改正先送りについては財界からの不満が(やはり)出たため、18日の時点で与党としては、少年法も商法もやる、とりあえず今週20日の衆議院本会議で商法の趣旨説明をして審議をスタートさせる、ということになりました。 この新方針のもとでは少年法の審議入りはどうなるか、具体的には入り口である本会議での趣旨説明をいつやるのかということですが、商法改正(労働界の反対が強く、すんなりとはいかない)を成立させてからになるのか、同時並行でいくのか、いずれにしても、残された時間で、自民党がさらにどういう方針でいくのか、混迷した状況になっています。時間が切迫するなかで、選挙の票になる、と見れば強引な強行採決も辞さない危険は依然としてあります。決して油断や安心はできません。 このように見てくると、自民党の新方針も幾つもの弱点を抱えながら、名古屋事件などを利用して、票めあてに迷走(19日日経)している姿も浮かび上がります。 逆に言えば、私たちの取り組みの焦点は、「改正」法案の強行は票集めにならない、少なくとも良識ある票は集まらない、ということを少しでも関係者に分かってもらうことではないでしょうか。 19日のマスコミ各紙でも「政治の思惑に左右されずに、少年法のあり方も含め、議論を尽くすことが求められている」との解説(朝日)や、「与党からも『警察の初動捜査が問われている愛知の事件とは(改正法案は)関係ない。本気でやる気なのか。そんなに簡単にやっつけられるものではない』と疑問が出ている」との報道(毎日)など、自民党の動きを間接ながら批判する記事も出てきています。少年犯罪被害者の立場からも、武るり子さんが「急がないでゆっくりやってほしい」と発言しています(産経)。 このような冷静な世論(市民の声)がもっともっと強まることによって、最終的には「強行採決」を封ずることになるでしょう。私たちの署名や団体の声明なども、直接国会に送るだけでなく、投書などの形でマスコミ各社に送ることも大切だと思われます。 廃案に持ち込むまで粘り強く頑張りましょう。 情勢緊迫「自民、今国会成立を目指す」(4/15更新) 4月14日の朝、毎日と日経の紙面に「政府与党は13日、健保関連法・警察法・少年法を見送ることにした」との記事が載りました。 しかし14日の午後のNHKニュースは「自民党は今国会で少年法審議に入ることにした」と報道し、15日の朝、朝日と東京は「自民党は14日に役員連絡会を開き、少年法改正法の今国会をめざし、公明党とを調整することにした」との記事を載せました。これによると、「5千万円恐喝事件など少年犯罪が社会に不安を与えているため、次の総選挙も視野に入れて」、先に審議する予定だった商法改正(会社分割)法案の成立を先送りにしてでも少年法改正法案を優先させよう(朝日)、というもので、同日公明党にこの方針を伝え協力を要請した(東京)、とのことです。 13日までの状況では、6月初め解散がほぼ既定事実となるなかで、@現在衆議院法務委員会では被害者法案を審議中であり、次には財界の要請が強い商法改正法案などがあるので、少年法は早くて5月連休明けでないと審議入りできないことを、A与党内でも公明党が政府案のままでの改正に反対しており、現在公明党内で対案も含めて検討作業が進んでいるが、まだその結論が出ていないこと、そのため今国会での成立は著しく困難、という認識が法務省内にも出ていました。毎日と日経の記事はそれを根拠にしていたと思われます。 これに対して自民党としては、少年犯罪への国民の関心を票に結びつけるために、商法改正を犠牲にする、という方針を決めたことで、最終的な緊迫場面に入りました。 しかし、この方針転換は、大きな弱点を抱えています。5千万円恐喝事件は、単純に考えても今回の「改正」法案に関連するところは何もありません。子供の金銭感覚が麻痺し、周囲の大人たちがここまで事態がエスカレートしたのを放置していた、という構造があるだけです。最近マスコミで取り上げられている山口県の母子殺害事件にしても、悲惨な事件ではありますが、やはり今回の「改正」法案に関連するところは何もありません。ただただ「少年非行は少年法が甘いからだ」というムードを背景に、それだから改正法案が必要だというデマで成り立っているからです。 今年の2月には草加事件最高裁判決があり、不当捜査が裁判所の事実認定を歪めたにもかかわらず、「それだから『改正』法案が必要だ」というデマが、一部マスコミにも流れましたが、「検察官が関与しても事実認定の適正化に役立たない」という大きな批判の前に、デマは崩れてしまいました。 また、この方針転換は公明党の協力が不可欠ですが、自民党の協力要請に対して、「努力してみる」と回答した(東京)、という段階です。公明党では、しばらく前から法案について詳細な検討を続けており、その帰趨が重要になっていますが、現時点では自民党の思惑通りにいく保証はありません。 私たちは@この「改正」法案では「事実認定の適正化」にも「被害者支援」にもならない、Aこの「改正」法案の問題点を審議するには、多くの参考人を含めた慎重な審議が必要であり、選挙前に拙速に成立することは絶対に許されない、ということを、さらに多方面に強く国会とマスコミを説得してことによって、確実に廃案に追い込むことができるでしょう。 (これまでの国会情勢)(4/11更新) 小渕内閣が急遽退陣して森内閣が成立し、国会解散が近づいたと報道されています。6月18日投票や25日投票という説が流れ、その場合には解散は5月後半とも報道されています。公示と投票の間は12日間が必要ですが、解散と公示の間は○○日以上をおくという規定はないので、6月上旬解散でも法律的に不可能ではありません。 このような状況の中で衆議院法務委員会の審議は、小渕退陣前のスケジュールで進んでいます。4月4日には電子認証に関する不動産登記法改正など審議・成立し、4月7日には被害者対策についての参考人質疑が午前午後かけて行われました。今後後半もしくは18日にかけて被害者関連法案(政府提案の刑事訴訟法改正等)が審議され、その後は商法改正(会社分割)法案の審議となりそうです。 問題は、少年法審議開始がいつになりそうか、ということです。今の状況ですと、早くても5月の連休明けになりそうです。もし解散があるとすれば1ヶ月あるかないかの短い期間で、衆議院と参議院で審議することは、通常の感覚では不可能でしょう。 しかし、それでも、解散が確定的であるわけではありません。政治家たちがかなり浮き足だっていることは事実のようですが、それは選挙の可能性があれば(そしてかなり高い可能性になっていることは確かのようですので)当然のことです。 そもそも小心な森首相にとって解散は大きな決断の筈で、今選挙したほうが有利だという確信が持てない限り、有珠山噴火のこともあり、解散に踏み切れないままズルズルと政治的混迷に落ち込んでいくというシナリオもゼロでない筈です。そのような場合でも(むしろそのような場合だからこそ)ろくな審議もなしに問題法案が通過してしまう危険も考えておくべきでしょう。 または解散があるとしても、票になるとみれば強引に成立させる危険も否定できません。先日4月7日の法務委員会でも、武氏の「少年法は被害者を無視している」との発言をしました。現在、山口県光市の妻子殺害事件の判決が話題となっており、西日本では連日のように何らかの形でマスコミが報道しているらしく、また山口県選出の河村健夫議員(自民党の元少年法問題小委員長)は、地元に帰れば「少年法改正」「被害者救済」を叫んでいるようです。票になる、と判断しての行動であり、これがそのまま国会での論理として直ちに通用するわけではないにしても、草加事件最高裁判決のような一時的ムード的利用の効果は軽視できません。 従って現在の課題は、浮き足だっている時期にいいかげんな審理をするが、というダメ押しをしっかりすることによって、確実に廃案に持ち込むことではないでしょうか。 みんなで創意をこらして全力を挙げてがんばりましょう。 (これまでの国会情勢)(3/30更新) 2月18日に第1回の委員会が開かれて大臣の所信表明がなされ、第2回が3月14日、以後第6回が3月28日に開かれ、これまで3つの予算関連法案(裁判所職員定員法改正、株式の消却に関する商法特例法改正、民事法律扶助法)を審議しており、現在民事法律扶助法の審議が続いています。 そのあと一般法案として少年法がありますが、法務省の刑事訴訟法改正案等と会社分割に関する商法改正がありますので少年法は4月下旬からになりそうです。
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