少年法改正骨子(案)(2000年9月21日)
第1 少年法における年齢区分の見直し
1 刑事処分可能年齢を16歳から14歳に引き下げる。
2 懲役又は禁錮の言い渡しを受けた少年は、16歳に達するまで、少年院に収容することができるものとする。
第2 凶悪重大事件法を犯した少年に対する処分のあり方の見直し
1 犯行時16歳以上の少年が故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件については、保護処分等を適当と認める場合のほか、検察官送致決定をするものとする
2 少年法第51条により死刑を軽減して無期刑を科した場合においては、少年法第58条第1号の少年に対する仮出獄可能期間の特則(7年)は適用しないものとする。
(3 少年法第51条後段の無期刑から有期刑への軽減については、裁量的とする方向で検討中)
第3 被害者への配慮
1 家庭裁判所は、被害者等から事件に関する意見の陳述の申し出があるときは、これを聴取するものとする。ただし、相当でないと認めるときは、この限りではないものとする。
2 家庭裁判所から、被害者等に対し、少年審判の結果等を通知する制度を導入する。
3 被害者等に対し、審判中及び審判確定後、一定の範囲で非行事実に係る記録の閲覧又は謄写を認め得る制度を導入する。
第4 保護者の責任の明確化
家庭裁判所は、必要があると認めるときは、保護者に対し、訓戒、指導その他の適当な措置をとることができるものとする。
第5 裁定合議制度の導入
家庭裁判所の少年審判、家事審判等に、裁定合議制度を導入する。
第6 検察官及び弁護士である付添人が関与した審理の導入
1 家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪及び短期2年以上の懲役又は禁錮にあたる罪の事件の事実認定の手続に、検察官が関与する必要があるときは、検察官関与決定をすることができるものとする。
2 家庭裁判所は、検察官関与決定があった場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である国選付添人を付するものとする。
第7 観護措置期間の延長
1 観護措置期間の延長は、8週間までとする。
(2 例外的に最長を12週間まで観護措置の延長を認めることについては、検討中)
第8 抗告受理申立制度
検察官に抗告権を認めるのではなく、検察官の申立てによる抗告受理制度を設けるものとする。
第9 保護処分終了後における救済手続の整備
保護処分終了後、非行事実のなかったことを認め得る明らかな資料を新たに発見した場合の保護処分取消しの手続を整備する。
第10 審判の方式
審判は、懇切を旨として、なごやかに行うとともに、非行のある少年に内省を促すものとしなければならないものとする。
第11 少年の氏名等の公表禁止
(凶悪重大事件については例外的に解除することにつき、検討中)