会 長 声 明
少年法「改正」法は、本日、施行5年後に法律を見直す旨の規定を加えた参議院の修正案に衆議院が同意して、可決成立した。
この「改正」法については、国会での法案審議のなかで、少年犯罪「凶悪化」論の疑問性、「原則逆送」などの「刑罰化」「厳罰化」の弊害、中学生を刑事処分に付することの是非、家庭裁判所の処遇決定に検察官が関与する問題性、少年えん罪事件増加の危険性、被害者の権利保障の不十分性など、審議にすべき論点がようやく明らかになったという段階である。しかも、当連合会および少年司法の実務に携わっている多くの人々から慎重な徹底審議を求める声が上がっていたにもかかわらず国会が採択を急いだことは、きわめて遺憾である。参議院段階で「改正」法を施行5年後に見直すと付則条項を急遽加えたこと自体が、今回の「改正」法の内容の問題性および法案審議の不十分性をうかがわせるものである。
今後、日弁連は、少年法の理念法を護り発展させる立場から、付添人活動を一層充実させ、「改正」少年法の運用の実態を注視していく決意である。あわせて、憲法や子どもの権利条約の視点から、引き続き捜査を含めた少年司法の改革を目指すとともに、少年犯罪の原因に関する調査と分析をすすめ、少年犯罪防止のために真に求められている施策を積極的に提言していくものである。
2000年11月28日
日本弁護士連合会会長
久保井一匡
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