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<1ページ> 第1場 舞台中央に、英大(暴行)、さやか(摂食傷害・万引き)、朋則(恐喝)がそれぞれの状況を表現するポーズのシルエット 上手にスポットライト、真理が立つ 裁判官(声のみ)里村真理だね。 真理(ふてくされて)はい。 裁判官 君が度々売春をしていたことは、間違いないね。 真理 いいえ。ちがいます。えんこうです。 裁判官 援助交際ということかな。お金をもらって体を提供しているんだよ。それはれっきとした売春だよ。 真理 セックスなんかしてません。さびしいおじさんたちの話相手していただけです。 裁判官 嘘をいっちやいけない。君の相手になった人が、子どもの性を買つたということで逮捕されているんだ。セックスをしたといっている。 真理 16歳にもなってセックスしちゃいけないんですか。 裁判官 自分の体をそんな風に扱っていいのかな。 真理 あたしの体です。どうしようがあたしの勝手だと思います。 裁判官 君の両親からもらった体だ。大切にしなくてはいけないよ。 真理 (突然きれる)冗談じゃないよ。あいつらのことなんか持ち出すなよ。 裁判官 そんないいかたはやめなさい。親が嫌いなのかい。 真理 (下を向いて、答えない。) 裁判官 君は少し親から離れて、きちんとした生活をした方がいいようだね。少年鑑別所でも、調査官も、君にはしばらく生活訓練のための施設に行ってもらう必要があるといっている。私も、そう思う。 真理 えっ、施設(顔をあげる) 裁判官 そう。君には、あかつき園に入所してもらうことにします。売春とは縁を切って、きちんとした生活を身につけてきてください。いいですね。 真理 (横を向く。) 真理、ライトを出て、シルエットに加わる。ライト消える。 下手に、スポットライト、園長に先導されて、仁、仁の父が登場。 仁は、ぼーっと立つて、よそ見をしている。 園長 こちらが、子どもたちの部屋です。日常は、ここで生活します。 父 仁、先生の言うことをよく聞きなさい。何のためにここにきているのかわかっているのか。 仁 (いやいや、うなづく) 父 もう、本当にいやになりますよ。この息子だけなんですよ。上の二人のはちやんと高校へ行き、大学にかよっているというのに、こいつだけが、シンナーになんか手を出して。園長 仁君は、シンナーをやめるつもりがあるんだね。 仁 (うるさいなあ、という風に、うなづく) 父 先生、お願いします。家内も参ってしまっています。私には病院の仕事があるし。まったく医者の息子がシンナー中毒だなんて、みっともなくて誰にも話せませんよ。 園長 水越さん、ここではしばらく仁君の生活を落ち着かせるだけですからね。規則正しい生活が出来るようになったら、もちろん家庭でやりなおすことになるのですから。そこのところは、ご理解いただいているのでしようね。 父 いやあ、まあ、よろしくお願いします。引き取っていただいて、本当に助かりました。それじゃあ、私はこれで。(下手に去る) 園長 水越さん、ちょっと待ってください。(園長、後を追う) 仁、シルエットに加わる。 音楽、薄光または、彩色光 できれば、ダンス 子ども全員 へルプミー、ラブミー(と叫んで、ストップモーション) |
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国立市市民芸術小ホールにて |
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