2000年9月18日
全国会議員の先生方へ
政策変更の手順を無視していませんか?
1 少年の凶悪事件が増えている
2 これまでの政策(少年院教育)では効果がない
3 刑事罰を強化すれば凶悪事件は減る
4 だから刑事処罰を強化する必要がある
政策変更は、いやしくも民主制下の議会においては、このような手順でなされるべきものではないでしょうか。しかるに、このたびの与党案策定の動きは、1から(しかも不正確な前提から)4に飛躍しています。責任政党の立法作業とは到底思えません。
凶悪事件は長期的に増加していません
少年犯罪の殆どは万引き・自転車バイク窃盗で、凶悪犯(殺人・強盗・強姦・放火)はごく僅かですが、殺人について戦後の変化を見れば、1951年と61年のピークに比べて75年以降は件数でおおむね2割程度(少年人口比で2〜3割程度)で推移してきたこと、ここ数年の変化では98年が多く99年が漸減していること、上半期だけ比べると今年は99年より多いが98年よりは少ないこと等があげられます。もちろん少年犯罪の発生をさらに減らすための社会的努力は必要ですが、凶悪事件が増えた、という根拠は当たりません。また質的な変化についていうなら、変わったのかどうか、少年院関係者など専門家の意見を充分聴くべきです。
少年院教育は効果をあげています
日本の犯罪全体が成人少年とも世界的に少なく特に成人の割合が少ないこと、殺人についても成人少年とも世界でも希に少ないこと、特に未成年者に続く20代前半の殺人が世界的に少ないこと、また少年院退院者の再犯率は成人の再犯率よりも少ないこと等があげられます。これらは少年犯罪者に対する家裁や少年院による個別教育的な手当てが社会的な政策として成功しており、成人になってからの犯罪を防止していることを実証しています。もちろん少年犯罪者の再犯をさらに減らすための努力や贖罪教育の充実は必要ですが、戦後日本の少年院教育が間違っていた、という前提は当たりません。
刑事処罰の強化は再犯を増やします
少年犯罪の背景には子どもの学校・家庭・地域での人権侵害やストレスがあり、また人命を大事にしない社会思潮からくる規範意識の低下があります。犯罪を犯した子どもには遅まきながら、自分も他人も大事な存在であることを丁寧に教育しなければなりません。これをしないで刑事処罰の強化を選択することは、アメリカの例のように、社会に反発して適応もできない危険な若年服役者を増やすだけではないでしょうか。
子どもの視点からの少年法論議を求める請願署名をすすめる会
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