厳罰化では問題解決できない
  少年法「改正」案強行採決に抗議する

2000年11月1日
日本国民救援会中央本部


 10月31日、厳罰化を盛り込んだ少年法「改正」案が、衆議院を通過した。日本の未来を担う少年にかかわる重大な問題を、「慎重審議せよ」とのおおくの国民の声を無視して十分な検討をしないまま多数で押し切ったことに強く抗議します。

 違法行為をおかしても処罰されない政治家、警察犯罪の横行とその隠蔽、暴力・力の強いものの意思が罷り通る世の中、こうした社会の病理にさらされている子どもたちにたいして、厳罰化はなんの効果もありません。いま、とりくむべきは、子どもをめぐる社会、改善すべき問題などを明らかにし、子どもの人格を尊重する立場から、子どものこころの問題の解明など専門家を含めた行政よる支援体制の確立などを急ぐべきです。単純な厳罰主義にもとづく改悪ではなく、憲法や「子どもの権利条約」にもとづく少年の人権保障と保護の立場に立った、改善を求めます。

 少年法はそもそも、将来のある子どもの「健全な育成に資するとともに、少年の福祉を図る」ことを目的とするものです。現在の問題は、むしろこの少年法の趣旨が生かされていない捜査機関や裁判所の実態があります。法的知識も抵抗力もない少年を、犯人ときめつけ保護者の立ち会いもなく取り調べ自白を迫る。少年えん罪草加事件に象徴されるように、少年のえん罪事件が後を絶ちません。少年の人権を尊重した取り調べと家庭裁判所での適正な手続きが求められます。

 家庭裁判所での少年審判は、通常の刑事裁判とはちがって、少年の側に反論したり証拠調べを要求したりする権利が制度的に保障されていません。捜査機関の出してきた書類や捜査報告書にもとづき裁判官が教育的に対応して判断することになっています。十分少年の言い分を聞かずに審判がおこわれるとえん罪を生むことになります。調査報告書を出してきた側の検察官がここに立ち会うことになれば、少年は、反論の権利も保障されないまま裁判官と検察官の両方から追及されるということになり、真実の解明には役立ちません。この点ももっと時間をかけて検討すべきことです。

 日本国民救援会は、厳罰化を盛り込んだ少年法「改正」案に反対するとともに、参議院での慎重な審議を求めるものです。

Home /論文 /すすめる会News / 催し情報 / 活動記録 / 図書  
その他スケジュールやご不明な点は請願署名をすすめる会までお問い合わせ下さい。
東日本事務局 TEL.03-5770-6164 FAX03-5770-6165 Eメール
siten@bh.mbn.or.jp