少年法「改正」についてのアピール

 9月21日に開会された臨時国会には、少年法の「改正案」が上程され審議されることが伝えられています。しかも、与党3党の議員立法により早期成立が目論まれていると報道されています。

 今回の「改正」の主な点は、次の三点にあるといわれています。それは、第一に、刑事処分可能年齢を14歳に引き下げることや、16歳以上の青年で故意に被害者を死亡させたと判断される場合の原則的逆送などの刑事処罰の拡充・強化を図ること、第二に、家裁での手続きにおける検察官の権限強化、第三に、「被害者の権利強化」です。特に第一については、前国会で廃案となった「改正案」にはなかったものです。それだけに、今回の「改正」のねらいはここに集約されてるといっても過言ではありません。

 厳罰主義とも言い換えられる第一の「改正点」は、少年法の本質にかかわる重要な問題をはらんでいます。相次ぐ少年事件を前にして、厳罰主義に賛意を表する世論も存在しています。しかし、そうであればあるほど、少年法とは何のための法だったのか、その原点に立ち返って見ることが必要なのではないでしょうか。少年法は、少年の人間としての「成長発達権の保障」を中心に置きながら、事件を起こした少年が心を開いて自らを問い、その過ちを認識して立ち直り、社会の一員として生きていけるように制定されたものです。事件を起こした少年を追い詰めたものは何だったのか、深い分析と認識をもとにした対応が必要であり、当事者に厳罰を科しても解決するものではありません。現に、少年法によって更生した少年の再犯率は、大人の再犯率の半分であることを数字が示しています。米国の銃による痛ましい事件は、厳罰主義のもとで繰り返されています。

 いま最も必要なことは、性急な少年法の「改正」ではなく、少年を駆り立て追い詰める社会のありようを子どもの権利条約の視点で見直してみることではないでしょうか。

 いま私たちは、第二、第三の問題を含めて市民的な議論を広くまきおこすこ時だと思います。それ故に、国会での政治的な思惑が先行した「改正」がはかられることが、子どもたちをいっそう追い詰めるものであることを明らかにしていきたいと思います。

 DCI日本支部は、子どもの権利をまもり確立でために「少年法改正」に反対する決意を表明し、ともに奮闘することを呼びかけます。

2000年9月

D・C・I 日本支部

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