子どもの視点からの少年法論議を求める請願署名を  

すすめる会  N E W S
NO.17(2000年3月29日)
国会情勢は依然緊迫 じりじりと審議入り、後へ


前号から1月たちました。この間、衆議院法務委員会での動きが緊迫し、東京中心の取り組みとなって全国へ情報をお届けするのが不足して、申し訳ありません。

2月18日に第1回の委員会が開かれて大臣の所信表明がなされ、第2回が3月14日、以後第6回が3月28日に開かれ、これまで3つの予算関連法案(裁判所職員定員法改正、株式の消却に関する商法特例法改正、民事法律扶助法)を審議しており、現在民事法律扶助法の審議が続いています。そのあと一般法案として少年法がありますが、法務省の刑事訴訟法改正案等と会社分割に関する商法改正がありますので少年法は4月下旬からになりそうです。

前号当時の予想よりも予算関連法案のペースが遅くなっており、その分だけ少年法が先に延びていますこれは委員会と委員会の間にたびたび開かれている理事会(理事懇談会)で野党が頑張っていることが基本にありますが、与党の側にも、何が何でも少年法を早く通そう、という姿勢が(現時点では)弱まっている、という状況があります。

その背景としては、@草加事件についての様々な広報活動の成果で、検察官関与が事実認定の適正化に役立たない(らしい)という認識が与党内に出ていること、

Aさらに被害者の側からの不当捜査批判が 岡崎事件の議員会館内集会を契機に与党内にも伝わったこと、等が上げられると思います。
また最近市民の会などによるハガキやEメールの活動の結果、市民の生の声が法務委員に届けられていることもプラスになっている、と思われます。

もちろん油断はできません。法務省は引き続き、与党に成立協力を訴えており、公明党でも政府案反対の意見のままでよいのか、あらためて詳しい検討を開始しているようです。検察官立会事件の範囲を狭めるだけ、というような対案は考えていないようですが、このまま廃案ということは難しい、という雰囲気のようです。
従って政府案の問題点を訴え、どのような改正が必要なのかを提示していくことが引き続き重要であり、 請願署名の拡大と国会(法務委員会)への情報集中は絶対に欠かせません。

請願 署名は引き続き取り組んでいます。
少しでも多く集めて事務局に送って下さい



大きな状況は私たちに有利です 

B最近は犯罪被害者支援の動きが活発です。刑事裁判手続での被害者の権利を盛り込んだ法務省の刑事訴訟法改正法案及び「犯罪被害者等の保護をはかるための刑事手続に付随する措置に関する法律案」が3月17日に衆議院に提出されました。また総合的な被害者の権利を盛り込んだ民主党の基本法案(日弁連の昨秋の提言をふまえたもの)が検討中です。さらに日弁連が少年事件手続での被害者の権利(情報開示など)についての提言を先日発表しました。これらによって、少年法「改正」は被害者のためという言い方が通用しにくくなっています。

Cまた4月はじめにアメリカの犯罪者社会復帰施設アミティーのスタッフが日本各地で講演等をし13日には国会議員会館内の集会も予定されています。加害者の心に触れ、心の傷を受け止め癒すことの大切さとそのためのプログラムが紹介されるようです。

D虐待防止立法の動きも国会内で進んでいます。虐待問題に関心を持つ議員の数は大幅に増えました。

E施設内虐待についても千葉の恩寵園を巡って社会的にクローズアップされ、3月22日には国会議員会館内の集会で卒園した子どもたちが実情を説明しました。これらは、現在の社会で子どもたちの置かれている状況を全体的に見る必要性を議員に認識させた、と思います。
より広い視野から子どもの問題を考える動きも出ています。

子どもの心を育むために F日弁連では子どもの心を育むためにと題する集いを3月21日に開きました。少年法国会審議入りを前に「子どもたちは変わったのか、今、真に大人に求められていることは何なのか」を中心に、創会場風景価学会・カトリック・仏教など宗教界や婦人・教育団体の方々・家裁調査官が一同に会して語り合いました。

G他方で教育改革国民会議が発足し教育基本法見直しの問題が浮上しています。少年法「改正」の目的はどこにあるのか、子どもをどこに連れていこうとしているのかあらためて考えよう、という機運が市民団体の中にも生まれています。また、東京では子どもの権利基本条例制定の市民運動が始まっています。

「改正」法案は事実認定の適正化にも被害者支援にも役立たない、少年法「改正」よりも先にやるべきことがあるということに確信を持って、社会に訴え、国会に訴えていきましょう。



あたらしいチラシができました!
著名な文化人の方々のメッセージ入りで「私たちも呼びかけます。改正は少年の視点から」 「急がないで!少年法『改正』」です。ぜひ活用して下さい。(事務局までご連絡下さい)


アピール
「子どもを追いつめる『改正』に反対します」

3月21日に文化人の方々や署名呼びかけの連名によるアピールが発表されました。

1. 少年法「改正」法案が、国会で審議されようとしていますが、私たちはこの法案に反対し、子どもの人権と犯罪被害者の人権を守る施策をすすめるよう求めます。

2. 少年法は、非行をおかした子ども、非行を疑われた子どもについて、家庭裁判所での手続き等を定めた法律ですが、子どもが人間として成長する力を信じ、耳を傾け、励まし、支援することを理念としており、子育てのあり方、大人と子どもの関わり方についての基本法とも言うべきもので、子どもの権利条約にも合致するものです。「改正」法案によれば、子どもが家庭裁判所で、非行の有無や動機について、警察での供述と違う発言をした場合には、鑑別所での身体的拘束を12週間まで延長できるとし、検察官が審判の場に出席して追求し、検察官が裁判所の決定に上訴できるように なります。このような重い負担を負わされて、子どもはますます本当のことを言えなくなります。しかも予断排除原則や厳格な証拠法則、少年の証拠調請求権が採用されておらず、これではむしろ少年の冤罪は増えるでしょう。これについて「子どもの言い逃れを許さず、事実認定を適正にするため」「子どもに非行の責任をとらせるため」と説明されていますが、正しい事実認定を妨げている原因は警察や検察庁の見込み捜査や強引な取調であることは、草加事件などの冤罪事件が示しています。また、子どもを一方的に責め立てることは、子どもの心を閉ざし、真の反省を妨げることになるでしょう。このような結果は、子どもの人権を損なうばかりでなく、正しい事実認定と加害者の反省を求める被害者の願いにも反するのではないでしょうか。

3. 少年法「改正」は「被害者のために必要だ」とも言われます。しかし犯罪被害者の人権・人格が守られていないのは少年法に欠陥があるから、との論調は間違っています。私たちは、様々な犯罪被害者の人権・人格がこれまで軽視されてきたことに対し、被害者支援に必要な、心の癒しと社会的経済的法律的支援のための総合的立法の制定を強く求めます。

4. 「少年法は甘すぎる」とも言われます。しかし、厳しく罰を与えれば子どもの非行はなくなるのでしょうか。非行の背景には様々な原因があります。家庭裁判所や少年院などの関係者は、非行の原因となった環境の改善を図るとともに、子ども に対しては、自分の行為を見つめさせ、被害者の苦しみを理解させて反省を深めるために、子どもと向き合って真剣に指導しています。このような教育的な方法で、社会の一員として自分の行動に責任のとれる大人になっていくことが、子どもにとっても被害者にとっても必要だと思います。これまで自分を見つめる機会のなかった子どもにとって、その過程は決して甘いものではありません。今必要なのは、子どもの自立を支える様々なサポートシステムではないでしょうか。

現在、私たち全ての大人が子どもの成長発達する力を信じ、これを支援するため、一層努力する事が求められています。そのためにも、少年法の理念を守 り、子どもの権利条約を日本に根付かせることの大切さを訴えます。


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