子どもと接する現場の人々の声をよく聞いてください
フリースクール東京シューレスタッフ 小野田 桃子
私は、東京シューレという学校外の子どもの居場所・フリースクールのスタッフをしている者です。毎日何十人という子どもたちと、遊んだり、学んだり、話し合ったりし、また子どもたちの悩みを聞いたりしています。私たちは学習会などを通して、子どもたちと一緒に少年法のことを学んできました。そこでわかってきたことは、検察官関与をはじめとした今回の少年法「改正」は、冤罪が増える可能性が大きいということ、そして罪を重くすれば犯罪が減るということではないということです。
つい最近連続して起こった17才の少年の事件に、私も衝撃を受けているひとりです。被害者の方々はどんなに辛いだろうと思います。被害者救済はもっともっと行なわれなければいけないし、そのための法整備は必要です。しかし、「だから子どもに対しても厳しい罰を与えるべきだ」というのは短絡的、感情的すぎると思います。マスコミによる報道で、そのような論調が強くなることを私はとてもおそれています。事件から見えてくるのは、私たち大人社会のゆがみと、“奪われた子どもたち”の姿です。他者と自分自身への信頼を、思いやりを、安心を奪われた子どもたち。このような時だからこそ私たちは、どうしたら本当の意味でこのような事件を防ぐことができたのかについて、冷静に、真剣に考えなくてなりません。
非行や犯罪をおかした少年が、本当の意味で反省し、社会に貢献できる人間に生き直すためには、少年法の青少年保護・更生の精神は欠くべからざるものです。
どうか、子どもと接する現場の人々の声をよく聞いてください。
そして、拙速な少年法「改正」はぜひともやめていただきたいと思います。
私はふだんから自分で曲を書いて歌を歌っているのですが、少年法のことに関わる中で、自分の思いをこんな歌にしてみました。
子どもの心を置き去りにして
ああ今 目の前のせまい部屋で 大切な明日がこわされそうになっている
この声はどこまで届くだろう わからない だけど私たちは祈っている
ああ柔らかな魂に手錠をかける 強い人たちが本当は怯えている
このままじゃ誰も弱さを見せられない それぞれの冷たい扉に鍵をかけて
子どもの言葉に耳をかさずに どこへ走っていくのだろう
子どもの心を置き去りにして どんな未来が見えるだろう
ああ誰も間違いをおかさずに生きてはいない 今までも これからも 多分ずっと
このままでいいとは思わないけど 疑いと罰とで扉の鍵は開かない
子どもであったことのない人は この世界中にいるのだろうか
言葉にならない叫びの中に 本当の答えを探したい