児童養護施設からの提言

 少年法の見直しに児童養護施設関係者として強く反対いたします。
 児童擁護施設は、現在557箇所に約3万名の子どもたちが親から離れて生活しています。 近年は虐待等の不適切なかかわりによって入所して来る子どもたちが増加し、約半数を占めております。虐待を受け心身に深い傷を負った子どもたちの状況は深刻で、情緒面、行動面、発達面に大きなダメージを受けております。
 決して十分といえない福祉の施策のなかで、施設職員は、子どもの心の癒しを図るために、愛着関係の再生に向けて必死に取り組んでおります。人間不信、大人不信に陥っている子どもたちの前に悪戦苦闘していますが、必ずや子どもはそれに応えて人を受け入れるという確信は、経験的にも持っております。
 確かに心の傷の深い子どものなかには一時期、非行等の問題行動に走る場合もありますが、それを罪を重くすることで改善できたり、防止できたりするものでは絶対にありません。いかに子どもの心の居場所づくりができるか、子どもとの愛着関係が成立するかが最大の課題です。
 来春も高校を卒業して杜会に自立していく子どもが大勢います。親に依存できず、家もなく学歴も低い三つのハンデを抱えて希望と不安を抱きながら社会に自立していきます。こうした子どもたちが社会で生きていかれるように支援できる施策こそ急務な課題であり、少年法の改悪ではありません。絶対に阻止しましよう。
2005年12月7日

全国児童養護施設協議会 顧問 福島一雄