〇少年審判規則

昭和二十三年十二月二十一日最高裁判所規則第三十三号
沿革
昭和二四年 六月一五日最高裁判所規則第一〇号〔第一次改正〕
昭和二四年 七月 一日最高裁判所規則第一二号〔裁判所書記官及び裁判所書記官補の設置に伴う関係規則の整理等に関する規則三条による改正〕
昭和二五年 四月一五日最高裁判所規則第一〇号〔第二次改正〕
昭和二五年 四月二八日最高裁判所規則第一一号〔少年調査官及び少年調査官補の設置に伴う関係規則の整理等に関する規則二条による改正〕
昭和二五年一二月二八日最高裁判所規則第三五号〔第三次改正〕
昭和二七年 三月一〇日最高裁判所規則第四号〔第四次改正〕
昭和二七年 七月三一日号外最高裁判所規則第一九号〔少年審判規則等の一部を改正する規則一条による改正〕
昭和二八年 七月二五日最高裁判所規則第一二号〔第五次改正〕
昭和二九年 五月二九日最高裁判所規則第五号〔家庭裁判所調査官等の設置に伴う関係規則の整理に関する規則二条による改正〕
昭和三〇年 八月 五日最高裁判所規則第八号〔第六次改正〕
昭和五七年 九月 三日最高裁判所規則第七号〔刑事訴訟規則及び少年審判規則の一部を改正する規則二条による改正〕
平成 四年 二月 三日最高裁判所規則第一号〔刑事訴訟規則及び少年審判規則の一部を改正する規則二条による改正〕
平成 八年一二月一七日号外最高裁判所規則第六号〔民事訴訟法及び民事訴訟規則の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則五条による改正〕
平成 九年 七月一四日最高裁判所規則第四号〔第七次改正〕
少年審判規則を次のように定める。

少年審判規則目次
第一章 総則
第二章 調査及び審判
第三章 抗告
第四章 雑則

少年審判規則

第一章 総則
(この規則の解釈と運用、保護事件取扱の態度)
第一条 この規則は、少年の保護事件を適切に処理するため、少年法(昭和二十三年法律第百六十八号。以下法という。)の目的及び精神に従つて解釈し、運用しなければならない。
2 調査及び審判その他保護事件の取扱に際しては、常に懇切にして誠意ある態度をもつて少年の情操の保護に心がけ、おのずから少年及び保護者等の信頼を受けるように努めなければならない。

(決定書)
第二条 決定をするときは、裁判官が、決定書を作つてこれに署名押印する。但し、署名押印に代えて記名押印することを妨げない。
2 次の各号に掲げる決定を除く決定の決定書には、前項の規定による署名押印又は記名押印に代えて押印することができる。
一 事件を終局させる決定
二 法第五条第二項及び第三項、第十七条第一項、第十七条の二、第二十四条の二、第二十五条並びに第三十四条の決定
3 決定書には、主文及び理由の外、少年の氏名、年齢、職業、住居及び本籍を記載する。
4 次の各号に掲げる決定を除く決定の決定書には、主文並びに少年の氏名及び年齢以外の記載を省略することができる。
一 法第二十条、第二十四条及び第二十四条の二の決定
二 第五十条(第五十四条において準用する場合を含む。)の決定
5 決定書には、記録中の書類の記載を引用することができる。
6 裁判官は、相当と認めるときは、決定を調書に記載させて決定書に代えることができる。

(決定の告知)
第三条 法第二十四条第一項の決定を告知するには、審判期日において言い渡さなければならない。
2 法第十七条第一項、第十七条の二、第二十三条及び第二十五条の決定を告知するには、少年の面前で言い渡さなければならない。法第十七条第一項第二号の措置がとられている事件について法第二十条の決定を告知する場合も、同様である。
3 決定は、前二項の場合を除いては、相当と認める方法によつて告知する。法第二十三条第二項及び第三項並びに第二十五条の決定について、前項の規定によることができないとき又はこれによることが相当でないと認めるときも、同様である。
4 法第十九条の決定は、前項の規定によることができないときは、告知することを要しない。
5 裁判所書記官は、第一項から第三項までの場合には告知の方法、場所及び年月日を、前項の場合には告知しなかつた旨を決定書又は決定を記載した調書に附記して押印しなければならない。

(決定と同行状の執行指揮)
第四条 法第十七条第一項第二号、第十七条の二、第十八条、第十九条第二項(第二十三条第三項において準用する場合を含む。)、第二十条、第二十三条第一項、第二十四条第一項、第二十六条の二及び第二十七条の二第四項の決定並びに同行状は、決定をし又は同行状を発した家庭裁判所の裁判官の指揮によつて執行する。
2 前項の指揮は、決定書の原本、決定書若しくは決定を記載した調書の謄本若しくは抄本又は同行状に押印して行うものとする。但し、急速を要するときは、少年の氏名及び年齢、決定の主文、告知の年月日、裁判所並びに裁判官の氏名を記載した書面に押印して行うことができる。

(決定の通知)
第五条 家庭裁判所は、検察官、司法警察員、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けた事件について法第十八条から第二十条まで、第二十三条又は第二十四条第一項の決定をしたときは、その旨を送致をした者に通知しなければならない。保護観察所長から犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)第四十二条第一項の通告を受けた事件について法第二十四条第一項第一号又は第三号の決定をしたときも同様である。
2 法第五十五条の規定によつて移送を受けた事件については、前項の規定を準用する。
3 家庭裁判所は、法第二十七条及び第二十七条の二第一項の規定により保護処分を取り消したときは、その旨を保護処分を執行している保護観察所、児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院の長に通知しなければならない。

(書類の作成者、調書への引用)
第六条 保護事件に関する書類は、特別の定のある場合を除いては、裁判所書記官が作成する。但し、家庭裁判所調査官の調査その他についての書類は、家庭裁判所調査官が自ら作成することができる。
2 調書には、書面、写真その他適当と認めるものを引用し、記録に添附してその一部とすることができる。

(記録、証拠物の閲覧、謄写)
第七条 保護事件の記録又は証拠物は、家庭裁判所の許可を受けた場合を除いては、閲覧又は謄写することができない。
2 附添人は、前項の規定にかかわらず、審判開始の決定があつた後は、保護事件の記録又は証拠物を閲覧することができる。

第二章 調査及び審判
(家庭裁判所への送致の方式・法第八条等)
第八条 検察官、司法警察員、都道府県知事又は児童相談所長が事件を家庭裁判所に送致するには、次に掲げる事項を記載した送致書によらなければならない。
一 少年及び保護者の氏名、年齢、職業及び住居並びに少年の本籍
二 審判に付すべき事由
三 その他参考となる事項
2 前項の場合において書類、証拠物その他参考となる資料があるときは、あわせて送付しなければならない。
3 送致書には、少年の処遇に関して、意見をつけることができる。
4 検察官は、家庭裁判所から送致を受けた事件を更に家庭裁判所に送致する場合には、送致書にその理由を記載しなければならない。
5 保護観察所長が犯罪者予防更生法第四十二条第一項の通告をする場合には、前四項の規定を準用する。

(通告の方式・法第六条)
第九条 家庭裁判所の審判に付すべき少年を発見した者は、家庭裁判所に通告するには、審判に付すべき事由の外、なるべく、少年及び保護者の氏名、年齢、職業及び住居並びに少年の本籍を明らかにしなければならない。
2 前項の通告は、書面又は口頭ですることができる。口頭の通告があつた場合には、家庭裁判所調査官又は裁判所書記官は、これを調書に記載する。
3 第一項の場合には、前条第三項の規定を準用する。

(報告の方式・法第七条)
第九条の二 家庭裁判所調査官が法第七条第一項の規定により報告するには、次に掲げる事項を記載した報告書によらなければならない。
一 少年及び保護者の氏名、年齢、職業及び住居
二 審判に付すべき事由の要旨
三 その他参考となる事項

(家庭裁判所調査官の報告前の調査・法第七条)
第十条 家庭裁判所調査官は、法第七条第二項の調査をするについては、報告をするに必要な限度に止め、深入りしないように注意しなければならない。

(調査の方針・法第九条)
第十一条 審判に付すべき少年については、家庭及び保護者の関係、境遇、経歴、教育の程度及び状況、不良化の経過、性行、事件の関係、心身の状況等審判及び処遇上必要な事項の調査を行うものとする。
2 家族及び関係人の経歴、教育の程度、性行及び遺伝関係等についても、できる限り、調査を行うものとする。
3 心身の状況については、なるべく、少年鑑別所をして科学的鑑別の方法により検査させなければならない。
4 少年を少年鑑別所に送致するときは、少年鑑別所に対し、なるべく、観護鑑別上の注意その他参考となる事項を示さなければならない。

(陳述録取調書の作成)
第十二条 少年、保護者又は参考人の陳述が事件の審判上必要であると認めるときは、これを調書に記載させ、又は記載しなければならない。
2 前項の調書には、陳述者をして署名押印させなければならない。
3 家庭裁判所調査官は、第一項の場合において相当と認めるときは、少年、保護者又は参考人の陳述の要旨を記載した書面を作成し、これを同項の調書に代えることができる。

(家庭裁判所調査官の調査報告・法第八条)
第十三条 家庭裁判所調査官は、調査の結果を書面で家庭裁判所に報告するものとする。
2 前項の書面には、意見をつけなければならない。
3 家庭裁判所調査官は、第一項の規定による報告の前後を問わず、少年の処遇に関し、家庭裁判所に対して意見を述べなければならない。

(附添人・法第十条)
第十四条 弁護士である附添人の数は、三人を超えることができない。
2 附添人を選任するには、附添人と連署した書面を差し出すものとする。この書面には、少年と附添人との関係を記載しなければならない。
3 前項の規定により付添人が署名押印すべき場合には、署名押印に代えて記名押印することができる。
4 附添人の選任は、審級ごとにしなければならない。
5 保護者が附添人となるには、書面でその旨を家庭裁判所に届け出るものとする。この場合には、第二項後段及び前項の規定を準用する。
6 附添人の選任の許可及び附添人となることの許可は、いつでも、取り消すことができる。

(呼出状の記載要件・法第十一条)
第十五条 調査又は審判のための呼出状には、本人の氏名、年齢及び住居、保護事件について呼び出す旨、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは同行状を発することがある旨を記載し、裁判官が、記名押印する。

(呼出状の送達・法第十一条)
第十六条 前条の呼出状は、送達する。
2 送達については、民事訴訟の送達に関する規定並びに刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第六十五条第二項及び第三項の規定を準用する。ただし、就業場所における送達、送達場所等の届出及び公示送達に関する規定は、この限りでない。

(簡易の呼出)
第十六条の二 調査又は審判のための呼出は、呼出状の送達以外の相当と認める方法によつてすることができる。

(同行状の記載要件・法第十一条等)
第十七条 調査又は審判のための同行状には、本人の氏名、年齢及び住居、審判に付すべき事由、同行すべき場所、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日を記載し、裁判官が、記名押印する。
2 緊急の場合に発する同行状には、前項の記載事項の外、特に発付を必要とする理由を具体的に記載しなければならない。
3 同行状の有効期間は、発付の日から七日とする。但し、相当と認めるときは、七日を超える期間を定めることができる。

(同行状の執行と執行後の処置・法第十三条)
第十八条 同行状を執行するには、本人に示して、できる限り速やかに指定された場所に同行しなければならない。
2 同行状を所持しない場合においても、急速を要するときは、前項の規定にかかわらず、少年に対し、審判に付すべき事由及び同行状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。但し、同行状は、できる限り速やかに示さなければならない。
3 同行状を執行したときは、これに執行の場所及び年月日時を記載し、執行することができなかつたときは、その事由を記載して記名押印しなければならない。
4 同行状は、執行したとき、又は執行することができなかつたときは、執行を指揮した裁判官に差し出さなければならない。
5 裁判官は、同行状を受け取つたときは、執行することができなかつた場合を除いて、裁判所書記官をして同行された年月日時を同行状に記載させなければならない。

(証人尋問等・法第十四条等)
第十九条 証人尋問、鑑定、通訳、翻訳、検証、押収及び捜索については、保護事件の性質に反しない限り、刑事訴訟規則(昭和二十三年最高裁判所規則第三十二号)中、裁判所の行うこれらの処分に関する規定を準用する。

(調査の嘱託)
第十九条の二 家庭裁判所は、他の家庭裁判所又は簡易裁判所に事実の調査を嘱託することができる。

(観護の措置等の方式・法第十七条等)
第二十条 法第十七条第一項第一号又は第二号の規定による決定をするには、家庭裁判所調査官又は少年鑑別所を指定するものとする。
2 法第十七条の二第一項の規定による決定をするには、少年院又は拘置監を指定するものとする。
3 前二項の規定による指定は、いつでも、変更することができる。

(観護の措置の取消・法第十七条)
第二十一条 観護の措置は、その必要がなくなつたときは、速やかに取り消さなければならない。

(少年鑑別所等への通知)
第二十一条の二 家庭裁判所は、法第十七条第一項第二号の措置がとられている事件の送致を受けたときは、その旨を少年を収容している少年鑑別所、少年院又は拘置監に通知しなければならない。法第十七条第一項第二号の措置がとられている事件について、法第十九条第二項(第二十三条第三項において準用する場合を含む。)又は第二十条の決定をしたときも、同様である。

(観護の措置に関する通知・法第十七条等)
第二十二条 観護の措置をとり又はこれを取り消し若しくは変更したときはその旨を、法第十七条第一項第二号の措置がとられている事件について法第十九条第二項、第二十条又は第二十三条第三項の規定による決定をしたときは法第四十五条第四号の規定により法第十七条第一項第二号の措置が勾留とみなされる旨を速やかに保護者及び附添人のうちそれぞれ適当と認める者に通知しなければならない。

(都道府県知事等への送致の方式・法第十八条)
第二十三条 事件を都道府県知事又は児童相談所長に送致する決定をするには、送致すべき都道府県知事又は児童相談所長を指定するものとする。

(検察官への送致の方式・法第二十条)
第二十四条 事件を検察官に送致する決定をするには、罪となるべき事実及びその事実に適用すべき罰条を示さなければならない。
(観護の措置が勾留とみなされる場合の告知・法第四十五条第四号等)
第二十四条の二 法第十七条第一項第二号の措置がとられている事件について、法第十九条第二項、第二十条又は第二十三条第三項の規定による決定をするときは、あらかじめ、本人に対し、罪となるべき事実並びに刑事訴訟法第六十条第一項各号の事由がある旨及び弁護人を選任することができる旨を告げなければならない。弁護士である附添人があるときは、弁護人を選任することができる旨は告げることを要しない。
2 前項の規定により告知をする場合には、裁判所書記官が立ち会い、調書を作成する。

(審判開始決定の取消)
第二十四条の三 法第二十一条の決定は、いつでも、取り消すことができる。

(審判期日の指定と呼出)
第二十五条 審判をするには、審判期日を定める。
2 審判期日には、少年、保護者及び附添人を呼び出さなければならない。
(事件の併合審判)
第二十五条の二 同一の少年に対する二以上の事件は、なるべく併合して審判しなければならない。

(保護観察所等への通知)
第二十六条 少年の処遇に関し、保護観察官若しくは保護司又は少年鑑別所に勤務する法務技官若しくは法務教官の意見を聴くことを相当と認めるときは、保護観察所又は少年鑑別所にその旨及び意見を聴くべき日時等を通知しなければならない。

(審判の場所)
第二十七条 審判は、裁判所外においても行うことができる。

(審判期日の列席者等)
第二十八条 審判の席には、裁判官及び裁判所書記官が、列席する。
2 家庭裁判所調査官は、裁判官の許可を得た場合を除き、審判の席に出席しなければならない。
3 少年が審判期日に出頭しないときは、審判を行うことができない。

(在席の許可)
第二十九条 審判の席には、少年の親族、教員その他相当と認める者に在席を許すことができる。

(意見の陳述)
第三十条 保護者及び附添人、家庭裁判所調査官並びに保護観察官、保護司、法務技官及び法務教官は、審判の席において、裁判官の許可を得て、意見を述べることができる。

(適正な審判のため等の措置)
第三十一条 適正な審判をするため必要があると認めるときは、発言を制止し、又は少年以外の者を退席させる等相当の措置をとることができる。
2 少年については、少年の情操を害するものと認める状況が生じたときは、その状況の継続中、これを退席させることができる。

(裁判官の回避)
第三十二条 裁判官は、審判の公平について疑を生ずべき事由があると思料するときは、職務の執行を避けなければならない。
(審判調書)
第三十三条 審判期日における手続については、審判調書を作成する。
2 審判調書には、次に掲げる事項その他審判に関する重要な事項を記載する。
一 審判をした裁判所、年月日及び場所
二 裁判官及び裁判所書記官並びに出席した家庭裁判所調査官、保護観察官、保護司、法務技官及び法務教官の氏名
三 少年並びに出席した保護者及び附添人の氏名
四 家庭裁判所調査官、保護観察官、保護司、法務技官、法務教官並びに保護者及び附添人の陳述の要旨
五 少年の陳述の要旨
六 証人、鑑定人、通訳人及び翻訳人並びに参考人の供述の要旨
七 決定その他の処分をしたこと。
八 裁判官が記載を命じた事項
3 裁判所書記官は、裁判官の許可があるときは、審判調書の作成又は前項第一号から第七号までに掲げる記載事項の一部を省略することができる。但し、抗告があつた場合は、この限りでない。

(審判調書の署名押印及び認印)
第三十四条 審判調書には、裁判所書記官が署名押印し、裁判官が認印する。
2 裁判官に差支があるときは、裁判所書記官がその事由を附記して署名押印する。
3 前二項の規定により裁判所書記官が署名押印すべき場合には、署名押印に代えて記名押印することができる。
4 裁判所書記官に差支があるときは、裁判官がその事由を附記して認印する。

(保護処分の決定の言渡・法第二十四条)
第三十五条 保護処分の決定を言い渡す場合には、少年及び保護者に対し、保護処分の趣旨を懇切に説明し、これを充分に理解させるようにしなければならない。
2 前項の場合には、二週間以内に抗告の申立書を裁判所に差し出して抗告をすることができる旨を告げなければならない。

(保護処分の決定の方式・法第二十四条)
第三十六条 罪を犯した少年の事件について保護処分の決定をするには、罪となるべき事実及びその事実に適用すべき法令を示さなければならない。

(各種の保護処分の形式と通知)
第三十七条 法第二十四条第一項第一号の決定をするには、保護観察をすべき保護観察所を、同項第三号の決定をするには、送致すべき少年院の種類を指定するものとする。
2 法第二十四条第一項第一号の決定をしたときは保護観察所長に、同項第二号の決定をしたときは児童相談所長に、同項第三号の決定をしたときは少年鑑別所長にその旨を通知しなければならない。

(参考書類の送付等)
第三十七条の二 前条第二項の通知をするときは、少年の処遇に関する意見書及び少年調査票その他少年の処遇上参考となる書類(以下参考書類という。)を送付することができる。
2 参考書類の取扱については、家庭裁判所の指示するところに従わなければならない。
3 家庭裁判所は、執務上必要があると認めるときは、いつでも、参考書類の返還を求めることができる。
4 保護処分が終了し又は取り消されたときは、速やかに参考書類を家庭裁判所に返還しなければならない。

(没取の決定の執行等・法第二十四条の二)
第三十七条の三 没取の決定の執行及び没取物の処分は、家庭裁判所が刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)中没収の裁判の執行及び没収物の処分に関する規定に準じて行う。

(保護処分の決定後の処置)
第三十八条 保護処分の決定をした裁判官は、当該少年の動向に関心を持ち、随時、その成績を視察し、又は家庭裁判所調査官をして視察させるように努めなければならない。
2 保護処分の決定をした家庭裁判所は、必要があると認めるときは、少年の処遇に関し、保護観察所、児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院に勧告をすることができる。

(環境調整の措置・法第二十四条)
第三十九条 保護観察所長をして家庭その他の環境調整に関する措置を行わせる場合には、環境についての調査の結果を通知し、且つ必要な事項を指示しなければならない。

(家庭裁判所調査官の観察に付する決定の方式等・法第二十五条)
第四十条 家庭裁判所調査官の観察に付する決定をするには、家庭裁判所調査官を指定するものとする。この場合には、観察の期間を定めることができる。
2 遵守事項を定めてその履行を命ずる場合には、その事項を具体的且つ明瞭に指示し、少年をして自発的にこれを遵守しようとする心構を持たせるように努めなければならない。
3 条件をつけて保護者に引き渡す場合には、保護者に対し、少年の保護監督について必要な条件を具体的に指示しなければならない。
4 適当な施設、団体又は個人に補導を委託する場合には、委託を受ける者に対し、少年の補導上参考となる事項を指示しなければならない。
5 家庭裁判所調査官の観察については、第十三条の規定を準用する。
6 家庭裁判所調査官の観察に付する決定は、いつでも、取り消し又は変更することができる。

(執行のための呼出状の記載要件・法第二十六条)
第四十一条 決定の執行をするための呼出状には、本人の氏名、年齢及び住居、執行すべき決定の種類、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは同行状を発することがある旨を記載し、裁判官が、これに記名押印する。

(執行のための同行状の記載要件と執行・法第二十六条)
第四十二条 決定の執行をするための同行状には、本人の氏名、年齢及び住居、執行すべき決定の種類、同行すべき場所並びに発付の年月日を記載し、裁判官が、これに記名押印する。
2 前項の同行状の執行については、第十八条の規定を準用する。

第三章 抗告

(抗告申立の方式・法第三十二条)
第四十三条 抗告をするには、申立書を原裁判所に差し出すものとする。
2 前項の申立書には、抗告の趣意を簡潔に明示しなければならない。

(収容中の少年の抗告申立・法第三十二条)
第四十四条 少年鑑別所、児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院にいる少年が抗告をするには、施設の長又はその代理者を経由して申立書を差し出すことができる。この場合において、抗告の提起期間内に申立書を施設の長又はその代理者に差し出したときは、抗告の提起期間内に抗告をしたものとみなす。
2 前項の場合には、施設の長又はその代理者は、原裁判所に申立書を送付し、且つこれを受け取つた年月日を通知しなければならない。
3 第一項の少年が施設の長又はその代理者を経由しないで申立書を差し出したときは、原裁判所は、速やかにその旨を施設の長又はその代理者に通知しなければならない。

(抗告申立書の送付)
第四十五条 原裁判所は、抗告申立書を受け取つたときは、速やかに記録とともに抗告裁判所に送付しなければならない。
2 前項の場合には、原裁判所は、抗告申立書に意見書をつけることができる。

(抗告の通知)
第四十六条 児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院に送致する決定に対して抗告がなされたときは、原裁判所は、遅滞なく少年のいるこれらの施設を抗告裁判所に通知しなければならない。

(執行停止の決定をする裁判所・法第三十四条)
第四十七条 抗告中の事件について原決定の執行を停止する決定は、記録が抗告裁判所に到達する前は、原裁判所が、到達した後は、抗告裁判所がするものとする。

(抗告裁判所の調査)
第四十八条 抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれている事項に限り、調査をする。
2 抗告裁判所は、抗告の趣意に含まれていない事項であつても、法第三十二条に規定する事由に関しては、職権で調査をすることができる。

(抗告裁判所の事実の取調)
第四十九条 抗告裁判所は、決定をするについて必要があるときは、事実の取調をすることができる。
2 前項の取調は、合議体の構成員にさせ、又は家庭裁判所の裁判官に嘱託することができる。

(棄却又は取消の決定)
第五十条 抗告裁判所が抗告を棄却し、又は原決定を取り消すには、決定でこれをしなければならない。

(決定の効力等)
第五十一条 抗告裁判所は、原決定を取り消した場合において少年が児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院にいるときは、直ちにこれらの施設の長に対し、事件の差戻又は移送を受けた家庭裁判所にその少年を送致すべきことを命じなければならない。
2 前項の場合には、施設の長は、直ちに所属の職員をして事件の差戻又は移送を受けた家庭裁判所に少年を送致させなければならない。

(差戻又は移送後の審判)
第五十二条 抗告裁判所から差戻又は移送を受けた事件については、更に審判をしなければならない。
2 前項の場合には、原決定をした裁判官は、審判に関与することができない。

(再抗告についての決定・法第三十五条)
第五十三条 最高裁判所は、法第三十五条の規定による抗告の手続が法及びこの規則の規定に違反したとき、又はその抗告が理由のないときは、抗告を棄却しなければならない。
2 前項の抗告が理由のあるときは、原決定を取り消さなければならない。この場合には、保護処分の決定を取り消して、事件を家庭裁判所に差し戻し、又は移送することができる。

(準用規定)
第五十四条 最高裁判所に対する抗告については、第四十三条から第五十二条までの規定を準用する。

第四章 雑則

(保護処分取消事件等の手続)
第五十五条 少年法第二十七条の二の規定による保護処分取消事件、少年院法第十一条の規定による収容継続申請事件及び犯罪者予防更生法第四十三条の規定による戻収容申請事件の手続は、その性質に反しない限り、少年の保護事件の例による。

(連戻状の請求等)
第五十六条 少年院法第十四条第三項の規定による連戻状の請求は、書面でしなければならない。
2 連戻状の請求書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 本人の氏名、年齢及び住居又は現在地。住居及び現在地が明らかでないときは、その旨
二 本人を少年院に収容しておくことができる期間の最終日
三 連れ戻すべき事由
四 連れ戻すべき少年院その他の場所
五 請求者の官職氏名
六 三十日を超える有効期間を必要とするときは、その旨及び事由
七 連戻状を数通必要とするときは、その旨及び事由
八 同一事由により本人に対し前に連戻状の請求又はその発付があつたときは、その旨
3 連戻状の請求書には、謄本一通を添付しなければならない。
4 連戻状を請求するには、連れ戻すべき事由があることを認めるべき資料を提供しなければならない。
5 連戻状の請求を受けた裁判官は、必要があると認めるときは、連戻状の請求をした少年院の長又はその少年院の職員の出頭を求めてその陳述を聴き、又はこれらの者に対し書類その他の物の提示を求めることができる。

(連戻状の記載要件等)
第五十七条 連戻状には、次に掲げる事項を記載し、裁判官が、記名押印する。
一 本人の氏名、年齢及び住居又は現在地。住居及び現在地が明らかでないときは、その旨
二 本人を少年院に収容しておくことができる期間の最終日
三 連れ戻すべき事由
四 連れ戻すべき少年院その他の場所
五 請求者の官職氏名
六 有効期間
七 有効期間経過後は、連戻しに着手することができず、連戻状は返還しなければならない旨
八 発付の年月日
2 連戻状の有効期間は、発付の日から三十日とする。但し、連戻状の請求を受けた裁判官は、相当と認めるときは、三十日を超える期間を定めることができる。
3 連戻状は、連戻状の請求書の謄本及びその記載を利用して作ることができる。
4 連戻状は、請求により、数通を発することができる。
5 連戻状による連戻しについては、第十八条第一項から第三項までの規定を準用する。
6 裁判官が連戻状の請求を却下するには、請求書の謄本にその旨を記載し、記名押印してこれを請求者に交付すれば足りる。

(準用規定)
第五十八条 少年院法第十七条第二項の規定により準用する同法第十四条の規定による少年鑑別所の長の連戻状の請求及びその請求による連戻状については、前二条の規定を準用する。

附 則
この規則は、昭和二十四年一月一日(法施行の日)から、施行する。
附 則 〔昭和二四年六月一五日最高裁判所規則第一〇号〕
この規則は、少年法の一部を改正する法律(昭和二十四年法律第二百十二号)施行の日〔昭和二四年六月一五日〕から施行する。
附 則 〔昭和二四年七月一日最高裁判所規則第一二号〕
この規則は、昭和二十四年七月一日から施行する。
附 則 〔昭和二五年四月一五日最高裁判所規則第一〇号〕
この規則は、公布の日から施行する。
附 則 〔昭和二五年四月二八日最高裁判所規則第一一号抄〕
1 この規則は、裁判所法等の一部を改正する法律(昭和二十五年法律第九十六号)の公布の日から起算して三十日を経過した日から施行する。
附 則 〔昭和二五年一二月二八日最高裁判所規則第三五号〕
この規則は、昭和二十六年一月一日から施行する。
附 則 〔昭和二七年三月一〇日最高裁判所規則第四号〕
この規則は、昭和二十七年四月一日から施行する。
附 則 〔昭和二七年七月三一日最高裁判所規則第一九号〕
この規則は、昭和二十七年八月一日から施行する。
附 則 〔昭和二八年七月二五日最高裁判所規則第一二号〕
この規則は、昭和二十八年八月一日から施行する。
附 則 〔昭和二九年五月二九日最高裁判所規則第五号〕
この規則は、昭和二十九年六月一日から施行する。
附 則 〔昭和三〇年八月五日最高裁判所規則第八号〕
この規則は、公布の日から施行する。
附 則 〔昭和五七年九月三日最高裁判所規則第七号〕
この規則は、民事訴訟法及び民事調停法の一部を改正する法律(昭和五十七年法律第八十三号)の施行の日(昭和五十七年十月一日)から施行する。
附 則 〔平成四年二月三日最高裁判所規則第一号〕
この規則は、平成四年四月一日から施行する。
附 則 〔平成八年一二月一七日最高裁判所規則第六号抄〕
(施行期日)
第一条 この規則は、民事訴訟法(平成八年法律第百九号。以下「新法」という。)の施行の日〔平成一〇年一月一日〕から施行する。
附 則 〔平成九年七月一四日最高裁判所規則第四号〕
この規則は、児童福祉法等の一部を改正する法律(平成九年法律第七十四号)の施行の日(平成十年四月一日)から施行する。