警察庁は罪を犯す恐れのある少年に対して、警察の任意調査権を明記した警察活動規則の改正案を公表しました。改正案については、一般からの「パブリックコメント」を求め(10月6日まで)、警察活動規則をまとめるとのことです。
ところで、平成19年5月25日,参議院本会議において,少年法改正法案が可決され,成立しましたが、この法案については,衆議院において,与党議員提出案による修正がなされています。国会での法案修正により、「改正」少年法案第6条の2、同第6条の6から、ぐ犯少年の規定が削除されました。それは、警察官のぐ犯(罪を犯す恐れのある少年)調査権限の及ぶ範囲が不明確で、対象の範囲が過度に拡大することが懸念されたからです。
この度、警察庁が一般からの意見を求めている、少年警察活動規則の一部を改正する規則案は、第三章第三節に「ぐ犯調査」の規定をおいています。これは、「改正」少年法案から削除された規定を規則案で復活させようとするものといえます。国会の審議でぐ犯少年の規定が削除された経過に照らし、削除すべきであるという意見が日弁連及び各地の弁護士会(京都、兵庫県、山口県、東京、大阪、横浜、秋田、滋賀県、愛知県、茨城県、和歌山、静岡県、長崎県)、子どもと法・21などから出されております。
また、社会民主党、日本共産党、民主党からも、国家公安委員会や警察庁に申し入れが行われております。なお、自民党も、ぐ犯規定の明確化などの複数項目の修正を求めております。
2007/10/12民主党『次の内閣』 法務担当 細川律夫
警察の「ぐ犯少年調査」規定案見直しを申し入れ
2007/10/10 日本共産党国会議員団
少年警察活動規則「改正」案についての申し入れ
2007/10/09 社会民主党党首 福島みずほ
「少年警察活動規則の一部を改正する規則案」に対する要請
少年警察活動規則
(平成十四年九月二十七日国家公安委員会規則第二十号)
第三章 少年の非行の防止のための活動
(非行少年についての活動)
第十二条 非行少年については、刑事事件の捜査及び刑事事件以外の事案について少年法 又は児童福祉法 に基づく措置をとるため必要な調査のほか、その適切な処遇に資するため必要な範囲において、時機を失することなく、本人又はその保護者に対する助言、学校その他の関係機関への連絡その他の必要な措置をとるものとする。
2 少年の刑事事件以外の事案に係る調査については、その性質に反しない限り、犯罪捜査規範第十一章 の例によるものとする。
3 触法少年又は十四歳未満のぐ犯少年であって児童福祉法第二十五条 の規定により通告すべき者に該当しないものの処遇については、第一項に定めるもののほか、第八条第二項から第四項までの規定を準用する。
今回の改正案
第三節ぐ犯調査
(ぐ犯調査の基本)
第二十七 条ぐ犯少年に係る事件の調査(以下この節及び第四節にお(新設)いて「ぐ犯調査」という。)については、少年法及び児童福祉法に基づく措置に資することを念頭に置き、少年法第三条第一項第三号イから二までに掲げる事由があって、その性格又は環境に照らして、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれがあることを具体的に明らかにするよう努めるとともに、少年の健全な育成を期する精神をもって、これに当たらなければならない。
(警察職員)
第二十八条 少年法第六条の二第三項の規定に基づく警察職員の職務(新設)等に関する規則第一条の規定により警察本部長が指定した警察職員は、上司である警察官の命を受け、ぐ犯調査を行うことができる。
(ぐ犯少年に係る事件の送致又は通告)
第二十九条 ぐ犯調査の結果、次の各号に該当するときは、当該各号(新設)
の手続により処理をするものとする。・・・・
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