少年法「改正」問題を考える学習会
 
   坂上香さん(ドキュメンタリー・ディレクター)
    ―「加害者」と「被害者」 どう向き合えるか アメリカの取り組みから―

 
 坂上香さんは、アメリカの犯罪の状況、処遇や被害者の権利保障、そして被害者と加害
者双方の癒しや和解等の試みについて、精力的に取材しておられます。被害者の家族と死
刑囚の家族たちが、一緒にキャンプをしながら傷を癒そうとする、「癒しと和解への旅」
(岩波書店)の作者でもあります。
 ドキュメントとしては、これまで、NHK・BSで放映された「閉ざされた魂の叫び〜ア
リス・ミラーが解く子ども時代〜」「ジャニー・オブ・ホープ、死刑囚の家族と被害者遺族
の2週間」「隠された過去への叫び〜米・犯罪者更生施設からの報告」「少年が被害者と向
き合うとき〜米・更生への新たな取り組み」などを取材・構成してきました。これらは、
加害者も被害者も共に権利保障され、かつどのような関係であるべきか、ということを問
題提起したものです。

 今回の学習会では、犯罪被害者をケアしていくための『被害回復のための正義』プログ
ラムの一環としてなされている「コンファレンス」というアメリカの取り組み、特に、少
年加害者と被害者のコンファレンスについてご報告を頂きます。コンファレンスは先のH
NK・BS「少年が被害者と向き合うとき〜米・更生への新たな取り組み」で放映されま
したが、直接被害を受けた被害者及び地域住民と、加害者が向き合い、「被害の回復」に向
けて話し合いを持ち、解決策をあみだしていくという対話型アプローチです。加害者にと
っても、「地域社会への復帰」の第一歩になります。

 アメリカでは厳罰化の波が押し寄せていますが、一向に犯罪は減らない、という状況の
中で、厳罰ではなく、別の方法をと、民間等がさまざまな試みをしています。さらに、被
害者の権利を保障するについても、さまざまな試みや運動があります。上記のさまざまな
試みはその一環です。
 
 少年法「改正」問題でも、被害者の権利保障という論点がありますが、これらの試みは
、加害者と被害者は決して対峙するものとして捉えていないばかりか、人間として共にどう
生き合えるか、支え合えるか、という大きな視点の運動だと思います。
 日本の少年法「改正」論議の問題を考えるにも、大変示唆を得るものと思います。是非
多数のご参加をお願い申し上げます。

     主催 東京弁護士会子どもの人権と少年法に関する特別委員会
    (お問い合わせは、東京弁護士会人権課 電話03−3581−2205)